青年会議所(Junior Chamber International、以下JC)は、20歳から40歳までの青年が参加できる組織で、地域社会の発展と個人の成長を目指して活動しています。そしてその前提にある価値観は、『明るい豊かな社会を築く』です。しかし、その実態については参加してみなければ分からない部分も、ネットで検索してもいい評判もあったり、悪い評判もあったりどういう団体なのが実態が掴めないと方が多いです。今回は、JCの実態や活動内容、そして参加するメリット・デメリットについて深掘りしてみたいと思います。
JCの活動内容
JCの主な活動内容は、地域社会への貢献、リーダーシップの育成、そして国際交流です。具体的には以下のような活動が行われています:
1. 地域貢献事業
地域の課題解決を目指し、子ども向けの教育イベントや環境保護活動を企画・運営します。
例えば、朝倉青年会議所では、ITスキルの向上を目的として、プログラミングと通じてドローンの操縦を学ぶ事業を実施しました。朝倉で開催されている防災フェスに出展したり、献血動員のボランティアを行ったりしています。
2. セミナーや研修
リーダーシップやプレゼンテーションスキル向上を目的とした研修や勉強会が頻繁に開催されます。インスタ講師を招いた勉強会の開催やメンバー間で地域の魅力を発見するフォトコンテストなど「自己成長」に繋がることを行っています。
3. 交流
他の地域や海外の青年会議所との交流や国際会議に参加する機会もあります。
朝倉青年会議所では、モンゴルのウランバートル青年会議所と提携しており、親睦を深めています。また、福岡県内でも糸島や福岡市の青年会議所とお会いしして、一緒に事業をすることもございます。関係者が増えていくと、規模も大きくなります。
以上3点を軸に、『会議』すなわち議論を行い、実行していく活動を行っています。皆様が見ているのは、『実行』の部分かと思います。それではそれを実行していくために、どういうことを議論を行ているのかを解説していきます。
会議内容
会議は「意思決定」の場です。会議の手法はロバート議事法を取り入れて実施しています。詳しくはこちらを参照ください。意思決定を行うにあたって、大事な前提が3つあります。
- 背景
- 目的
- 効果
これが非常に重視されています。
背景
その地域が抱える悩みや課題を想定して事業を考えます。
例)朝倉市が運営するインスタのフォロワーが少ないので、地域の魅力が十分に伝わっているとはいえない。
この例を基に考えると、想定される悩みや課題は、「地域の魅力が十分に伝わっていない」ということが考えられます。それを軸に次の目的を考えていきます。
目的
『〇〇するために、これを開催する』という結びつけになります。
例)地域の魅力を発信するために、インスタグラムの勉強会を開催する
という流れになります。ここで、『インスタグラムの勉強会を開催する』という手法が出てきました。誰か講師を招いてやるのか、どのような勉強会をするのかを考えていきますが、軸となっているの『地域の魅力を発信するため』の前提が変わらないのように、検討していきます。
効果
それを実行した結果、どのような結果が想定されるのかというのを考えます。
例)インスタグラムの勉強会をした結果、それぞれ個人のアカウントでフォロワーが増やすこと。いいねの件数が増える。
となります。これが論理的に成り立っているのかを一連の流れで議論しています。
実態:JCに参加して感じること
参加者が感じるJCの特徴について、実際の体験をもとにまとめてみました。
1. 想像以上に忙しい!
JCの活動は基本的にボランティアですが、仕事と両立するのが難しいほどのスケジュール感があります。特に大きなイベント前は深夜までの会議や準備が続くことも。
2. 人脈が広がる
地域や業界を越えた幅広い人々と出会えるのはJCの大きな魅力です。共にプロジェクトを進める中で、仕事では得られない絆が生まれます。
3. お金がかかる
年会費や参加費、イベント運営費などの費用が必要です。特に国際会議や研修に参加する場合、交通費や宿泊費がかさむこともあります。
4. 成長のチャンス
プレゼンの場や企画運営の経験を通じて、自己成長を感じることができるという声が多く聞かれます。ただし、それには積極的な参加姿勢が求められます。
JCに参加するメリット・デメリット
JCに参加することには、明確なメリットとデメリットがあります。
メリット
- 幅広い人脈作り
- リーダーシップやコミュニケーションスキルの向上
- 地域社会への貢献
- 国際的な視点が養われる
- PCスキルの向上
デメリット
- 時間的な負担が大きい
- 金銭的な負担がある
- 体育会系の文化が根強い
時間的な負担が大きい(仕事や家庭への影響)
JCの活動は非常に多忙で、特に大きな事業を行う際には何カ月も前から委員会や会議が続きます。昼夜を問わず平日も休日も関係なく活動があるため、特に委員長になると、資料作成や理事会の準備でさらに多忙を極めます。また、会議後の飲み会が頻繁にあり、上役がいると断りにくいのが実情です。こうした負担が続くと、仕事や家庭の時間を削らざるを得なくなり、家族との関係が悪化する場合もあります。中には、JC活動にのめり込みすぎて離婚に至ったケースも存在するとのことです。
金銭的な負担がある
年会費は地域によって異なりますが、平均して12万円程度が必要です。また、飲み会や国内外の出張にかかる費用も自費負担となります。特に個人事業主や小規模な企業経営者にとって、この金銭的な負担は大きなリスクとなり、事業に悪影響を及ぼすこともあります。実際に、JC活動が原因で経営が傾き、最終的に倒産した事例もあると聞いていますので、事業に支障のない範囲で、断る勇気を持つことも大事です。
参加意欲がないと得られるものがない
JCでの活動は地域活動を中心となっています。なので、自社の営業とは少し異なります。しかし、JCでの活動を周りのメンバーは見ていますので、参加意欲がなかったりすると却ってネガティブな印象をメンバーに与えてしまうリスクが発生します。逆に仕事とは関係なく頑張っていると、しっかりそれを見ている人もいるので「信頼」されて仕事が回ってくるようになると思います。すべてにおいて共通していると思いますが「主体性」であることは必要なことです。
まとめ
JCは、忙しい日々の中でも自分の成長や地域貢献に価値を見出せる人に向いている組織です。参加には労力や費用がかかりますが、それ以上に得られるものも多いと感じられるでしょう。役職に就くとさらに忙しくなりますが、その経験は他では得られないものです。
ただ参加して会費を払っているだけでも十分に学びは得ることができますが、積極的に会議に参加するメンバーになっていくと、新しい発見や単発事業を構築していくマインドを身に着けることができます。主体的に参加することで、新しい世界が広がっていくと思います。
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